「評論」という言葉を調べてみると。
物事の価値・善悪・優劣などを批評し論じること。また、その文章。(デジタル大辞泉)
他人の創造物についての感覚的好悪の情を論理的に説明しようとする試みのこと。(はてなキーワード)

だそうです。

で、「批評」ってのは
物事の是非・善悪・正邪などを指摘して、自分の評価を述べること。(デジタル大辞泉)

だそうです。

これらってのは、その人が思ったことを言うわけであり、思ったことをいってるわけだから他人と違っていいわけです。どれだけ糞味噌にけなそうと、どれだけ絶賛しようと、それは批評した人の感性の問題であり、ある意味価値観の問題だと思うのです。

ただ、さ。

批評の根拠になるものが間違ってると、指摘したくなるのも人の性だよ、ね?

これはかなわんワニ」というブログに「同人誌即売会の癌としてのコミックマーケット」という記事がありまして。
その後補足ということで「コミケのがんもどき。」という記事が上がりました。

……ちょっと頭を抱えたので、突っ込みいれてみようか。

 

まず、コミケの申込書セット≒手数料じゃね?という話。

ブログ主は「原価の内訳分からない!」とおっしゃってますが。
これ、コミケのサークル参加申込書セットに書かれているのよね。
現在自宅の書庫整理中につき直近のが出てこなくてコミケ79の申込書を参考にさせて頂きますが、ここに「経費と会社と準備会について」というページがあります。この申込書だと紙色緑の5ページ。

(ちょっと余談ですが、この申込書セットは単なる申込書だけでなく、コミケという組織についてかなり詳しく書かれたテキストであると思っています。理念とか年表とかもあります。Webにもあるじゃん!ってよく言われるんだけど、全部がWebに掲載されているわけじゃないので、何らかの手段で手に入れて目を通したほうがいいと思います)

話を戻して。
この中に、申込書の内訳が「文章」で書かれています。
「申込書については、1セットあたり印刷費三百円、受付確認葉書・当落通知発送の通信印刷費(アピール・通行証等の印刷費・郵送代)二百円、コンピュータ入力外注費(二度入力)・返金手数料(百四十円)・作業合宿費などで九百円以上かかります。その他、日々の事務関係などに使われています。」


表示されている金額を見ると、申込書セットの印刷費に、受付確認葉書や当落封筒の印刷人郵送費だけで500円かかってるわけですね。
(この申込書セットに「コミケットプレス」という冊子が入っておりますが、これの印刷費その他は申込書セットの1000円の中に入っておりません。これはプレスの方にその旨書いてあったはず)
これに、返金手数料が140円。ここまで合計640円。1000円で引くと360円か。コンピュータ入力外注費がいくらか書かれておりませんが、オンライン申込はサークルドットエムエスがやるとしてもまだまだ紙申込はあるわけで、これ自体は絶対になくせない作業。これは紙申込だけだからオンラインは不要じゃねーか!というツッコミもありそうですが、その後の作業合宿費(これ、人件費の話じゃなく、作業する会場を借りる費用のことだと思う)は申込方法にかかわらずかかります。

まあ、800円とか900円とかな端数は絶対嫌だし、なあ……。

さて。
多分ブログ主は「他のイベントはサークル参加費に通信費とか含まれてるんちゃうんか!なんでコミケは申込書セットに入れとんねん!他のイベントみたいにせーや!」という反論がくるんじゃなかろうかと勝手に想像しておりますが。

少なくとも現状は、落選数が多いのよね。ケタ違いに。そういうサークルにも落選通知という形で連絡しないといけない。そこの負担を当選サークルに担わせるというのはちとキツイくらいの金額になります。
普通のイベントの場合は、落選時の場合は「入金分から落選手数料を引いた金額を返金」ということが最近増えております(博麗神社例大祭などもそうですね)。自分とこはどうかと言われると今の段階では落選がほぼ皆無なのでそういう規定をしておりません。つまりはそういうことです。
(サークル参加費がどう使われるかの内訳も、申込書セットに記載されているので、マジ入手すべきと思うよ)

で。
「申込書セットを売るのをやめれば、そこの人員をサークル対応に回すとか当日申込受付を試みるとか」とブログ主はおっしゃられますが、あそこ、申込書だけを売ってるわけじゃないからなあ…。他にもカタログ(外だけじゃないよ!)とか紙袋とかも販売してるんで、申込書セットの販売をやめても余剰人員の発生はしないと思うんだよね…。
また、「広告を募って載せる」っていうアイデアは面白いと思うのですが、広告乗せるとその広告分ページ数が増えるから更に印刷費が上がるんだよね…とか、そもそも「申込書」に広告載せたい企業はいるのだろうか?(カタログはともかく)というツッコミができてしまうので、ブログ主様は試算してみると良いのではないでしょうか。いくらで広告費をなん者分集めれば無料でできるか。

あと。
次の「オンライン申込み手数料の是非」の件ですが。

①は主催が泣きながら一生懸命システム作ってサークル申込み用データベース打ってるんだよ!誰も金なんか払ってくれねーよ!持ち出しだよこんなもん!
……仕事だったら、いくら貰えるだろうね、これ……って主催は思ってます、いつも。
もっとも、個人イベントとかだと多くても500とかくらいだろうし、そのくらいなら表向き笑って出来ますが、コミケクラスになるとさすがにお金下さいって話なのです、はい。サークルデータベースから例えば宛名印刷するにも、500と50000じゃ時間も印刷費も違うしなあ。
②に関しては、手数料の流れがわかってないかなーとちょっと思ったので。
クレジットカードを使う場合、普通手数料がかかります。…普通に買い物の時に手数料かかってないじゃん!と言われるのですが、あれ、店が払ってるのですよ、システム料。
つまり、クレジットカード使用手数料を、サークルドットエムエスがクレジット会社に後で支払ってるわけ。
で、な。
これ、ICカード支払いでも、デビットカード(銀行キャッシュカード)支払いでもかかってるのですよ。
普通のイベント申込みの時、サークル参加費の銀行振込時の手数料はサークル負担と書かれています。
サークルドットエムエスを使って銀行口座から振込する場合、銀行へ直接手数料は払いません。サークルドットエムエスがあとで纏めて手数料を銀行へ払います。
その他電子マネーも内部的にはだいたい一緒。
(ちなみにC80まで使用できたWebMoneyの手数料が他より高かったのは、これだけ手数料の利率が高かったのではないかと思います)
あとは、サークルドットエムエスの作業費とかサーバ代とかそういうの。


ブログ主は「経費がこんなにかかるのか?」という意味において、もう少し調べたほうがいいかなあとちょっと思います。


あと。

この件の本来の主張である「7500円じゃなく8500円と明記しろ!」「返金手数料1000円と明記しろ!」ってのは。

……言いたいことわかるけどねえ……。
あのへんのお金がサークル参加費とは思えないんだよなあ…という「考え方の違い」で言葉を濁しておく。
サークルドットエムエスの使用料はともかく、コミケ申込書は名前こそ「申込書」だけど、読み物として、資料としてかなりすごいものなのでねえ…。自分としては「コミケ評論同人誌のおまけに次回の申込書」って感覚なのよなあ…。
(そう思わない人が大勢いることも知っている。なので、「考え方の違い」といってるのです)


……ここまでで分量オーバー気味なので、すみませんが他のツッコミは暇があったら。

PS:ブログ主様の主張はものすごく難解でして、私のような学のないアホンダラはなにか主様の仰りたいことを勘違いして解釈しているかもしれません。その場合は優しく、わかりやすく、ご指摘いただければ幸いでございます。