前回の記事に対して三澤せんせーから反論が出ておりまして。

……大変申し訳無いのですが、あまりにむちゃくちゃな屁理屈状態であって、私は愕然としまして。双方読んだ友人複数人から慰められたという状態だったのですが。

で、全員が口を揃えて「彼を相手にする暇があるならもっと有意義なことをするべき!」というわけでして。
私も、まあそうだろうなあこの人話し通じなさそうだしなあと思ったのですが。


一点だけ。
再反論というか、ちょっと解説をやりたいと思います。
これは三澤せんせーに対してというより、それ以外の人も含めて(特に最近同人関係関わったきた人は)勘違いしてるんじゃないかなと思ったので。

それは、印刷費の話。
例の、申込書セットにかかる印刷費の話です。


 三澤センセーの反論記事におかれては、「共信印刷・お得なフェア」の金額を引き合いに出して「1部あたり100円切ってる!他のオプションつけたって300円になるわけがない!」と申されたわけなのですが。


じつは、違うのです。


あ、オプションが高いという話とは違いまして。


まず、お得なフェアにかぎらず、印刷会社各種取揃えている「プラン・フェア」の話について。

もともと同人誌(に限った話じゃないと思うのですが)の印刷費には「基本料金」がありまして、それにオプションを追加していくやり方でした。今でも基本料金というものはありまして、それは各自サイトをご覧くださいという話ですが。
ちょっと凝ったことをすると、計算がめんどくさいという問題がありました。
例えば、表紙の紙を変えるだけで追加料金、表紙を2色とかフルカラーとかにするだけで追加料金、本文を2色にするだけで追加料金…てな具合に。
まあ、私はこういう本を作りたいんだ!という信念のもとに同人誌作ってるからそれでいいのですが、中には「もっと簡単に安くできないの?」と思う人も当然いるわけです。
そこで、比較的注文の多い仕様をまとめてセットにしたものが「プラン・フェア」などと呼ばれるものになります。
わかりやすいもので例えると、ファーストフードのなんとかセットみたいな感じですね。ハンバーガとポテトとドリンクがセットですって言うあれ。

で、印刷所のプラン。実際の印刷所の基本料金&オプションと見比べると、恐ろしく安い価格となっております。これにはちゃんと理由があります。

ひとつめは、このプランで発注が来ると思われる紙やインクなどを予め大量に仕入れておくことによってコストを下げられる。
紙やインクって少量をちまちま注文するより一気に大量に頼んだほうが安くなるわけですよ。ホームセンターかパソコンショップでPPC用紙(コピー用紙)の値段が100枚入りのものと500枚パックと箱買いで1枚あたりの値段算出するとそのへんはピンと来るんじゃないかなあ。

ふたつめは、機械の効率を上げることができる。
……例えば、本文にしても墨(黒色)印刷と茶色インク印刷の本は連続して印刷できません。そして、ここがトナーやインクジェットなプリンタと違う話なんだけど、インクを変えるときってオフセット印刷機は一度洗浄という作業が必要となります。カートリッジ式でスポーンカシャーン!って話ではない。これは機械の構造上しょうがないんだけど、そうなると当然ロスが出る。時間もだけど、インクそのものも。ついでに一度洗浄作業したあとは新しいインクが馴染むように試運転する必要もあるのでその分もインクのロス。ついでに馴染んだかどうかは印刷して確認するのでその分紙もロス。これが、仕様が全部統一されていれば、そこのロスはなくなります。
このロスって、今インク替えの話でしましたが、実は印刷する紙が変わるときにも発生します。紙の種類が変わると、必要なインク量とか濃度とかって微妙に変わってくるのですよ。
(実際問題としては、湿度とか気温とかもっと細かい変化があるのですが、そのへんは割愛)

みっつめは、これも機械の効率と近い話なんだけど、複数人同時印刷ができる。
印刷所内で紙っていうのはB4A3みたいなサイズよりもずっと大きなサイズで納入されてくるわけです。この大きな紙1枚に表紙1枚印刷する…ってのが普通ですが、これ、サイズ的に2枚入れられると半分の値段でできるよ、ね?という話。
(最近はデジタル製版が多いのでちょっと状況が不明なのですが、昔はアナログ製版だったので、印刷に使うマスターの複製が容易ではなかったのです。なので、こういうことをやる場合、必然的に他の作品と一緒に印刷することになります。となると、特に表紙用紙なんかは統一されている方が楽だよね!って話)

他にもいろいろありそうな気がしますが、とにかくこういうところでコストダウンさせてのプランだったわけです。
(最近の印刷所のあれこれを見てるとそういう理由じゃないってケースも多々ありそうな気がしますが)

まあ、金額これ!って決まってると計算間違いしなくて済むから、お互いハッピーだよね!ってのも確実にあるな。


で、だ。


この格安プラン。条件がありまして。
「そこに書かれている仕様+オプションで可能なこと以外のことをやりたい場合は原則的に使えません」

当たり前です。ファーストフードで「このセットに、オレポテト嫌いだからナゲットに変更して」っていったところでセット価格にナゲットの差額なんてことはしてくれません。通常のハンバーガー+ドリンク+ナゲットという計算になります。

それと同じことが、コミケ申込書印刷にも該当します。
……というか、例に出されたお得なフェア、仕様が全然違うから、あれで比較しちゃダメなんですよ。フェアの方は表紙フルカラーって書いてあるじゃないですか。フルカラーなら墨1色印刷より高いから別に問題無いだろってそういう話じゃないんですよ。フルカラー印刷機と一色(もしくは多色)印刷機って別物だから、単純なインクの色数だけで計算出来ないんですよ。

あのコミケ申込書の印刷仕様ってものすごく特殊なんですよというのは同人誌をお作りになられたことのない三澤センセーにはお分かりにならないようですが。

判型:B5・表紙込40ページ
表紙:墨1色・表紙用紙OKプリンス(追加料金)・表34印刷あり(オプション)
本文:中とじ・紙変え16ページ(当然オプション)・2色印刷6or8ページ(オプション・実際は3ページ分しか2色ページがないのですが、中とじの場合でこのレイアウトの場合こういう計算になります。理由は説明しなくてもわかると信じてる)
※共信印刷さん使ったことないんであれなんだけど、あのピンクっぽい紙って基本用紙?基本用紙じゃなければそれも紙変えになりますね…。あ、紙変えってのはその分別に用紙代がかかるってことです、はい。
綴じ込み:<シール印刷+型抜き加工+台紙裏印刷あり><払込取扱票印刷+ナンバリング印刷>の2つを綴じ込み製本
追加:封筒印刷(これ、いわゆる市販封筒に両面印刷しましたではなく、1枚の紙に印刷したあと、封筒の形に裁断して、のりづけして封筒にしてると思うんだけどどうだろう…)+挟み込み

これだけのことがセットで出来る印刷所があったらぜひ教えてくださいって話ですよ!
Webじゃ公開されてない金額があるから(マニュアル取り寄せれば計算できそうな気がしないでもない)実際どのくらいかかってるのかこの場で計算できませんが、同人誌を普段作ってるからこそ、「ああ、300円で済むってことは相当の部数作ってるんだな…」というのがわかるのです。
普段私が頼んでいる部数(ピコ手なので実数公開はご遠慮させてください…)でこれを注文すると……1冊単価1000円は超えるはず、軽く。

まあ、まあ、まあ。
最近の同人誌の殆どはフェアで印刷していることが多いと思いますが…。
それで計算出来ない印刷物ってのはたくさんあるのですよ、本当に…。


追記:じゃあこんな金のかかる仕様じゃなく、もっとあっさりとした安い仕様、それこそ他のイベントのチラシと同じようにA3(B4)両面印刷ぐらいにしやがれ!っていう意見がきそうなんだけど……。なんだろう、ぶっちゃけるとどうしたいのかわからないのでどう答えても文句しか帰ってこないだろうなあという意味において、なあ……。