久しぶりに例の件とは全く違う話。

Twitterでこの画像のドレスが何色か?で吹き上がっておりまして。 
あ、一番最初のドレスね。それ以降は加工してるものもありますんで。

本来のドレス色は、青ベースの黒レースです。
これが、白ベースの金レースに見えると。
原因はいくつかあります。

1つは、そもそもの写真画像の問題。色ってのは光の様々な要素が目に映る時に「何色に見える」ってなるのですが、単純なRGB要素以外にいろいろな光の要素というものがあって、それを判断するかという問題があります。写真っていうのも、同じように「判断した要素をデータ処理してこういう数値=色とする」ってのをやってるんだけど、デジカメの場合人間の目に見えるように自動補正かける機能があって、その機能が変な数字を出すとややこしい色データを表示する。

2つ目は、そのややこしいデータを人間が見た時にどう判断するかってのが人によって微妙にずれがあるって話。大きく触れると「色覚異常」になるんだが、そう言うレベルじゃなくても人によって微妙な色覚の差異って存在するんですよ。 このデータが人によって「色」ってものの感覚を判断するボーダーライン付近のデータを出すので、人によって見え方が変わる。
あと、その色の周辺の色でも、認識は大きく変わる。このへんになると色覚の差異というよりカラーマジックの世界。

3つ目は、モニターの問題。色設定が大幅に違っているものもあるので、そこは合わせないとまず一致しない。で、なんで予め出荷時にモニター調整してないのか?というと、色覚が個人単位でずれているので。もちろん、CMYKとRGBのズレマッチング用でもあるんだけど、データは赤なんだけど作業者は赤紫に見える!ってなると、絶対色が合わないわけで。(そこにさらにプリンターの色も合わせないとややこしくなるわけ)

ちなみに、色覚のズレってのは認知の問題なので、生まれつきではなく後天的になることもあるし、端的にいいうと疲れ目でも起きる。同人入稿のギリッギリに色付けすると、たまに思ってもみない色で塗ってることが多々ありますので、皆さんお気をつけましょう(ぁ。

……という辺りが真相で、だからってどうだってのはない。
あの画像は特殊なのだ。
気になる人は一度キャリブレーションしてみようね!Windows標準機能の簡易版でもとりあえずは合わせないだけマシかな。 

 

……ただし。
こういう例もあるから、頭に入れておかないといけないものってのが幾つかある。

人によって、色って言うものですら見え方が違うのだ。
なので、アニメキャラの髪の色が○○さん違ってる!とかってのは、普通にある。
自分も、水彩グラデ系の塗りは、他の人がきれいな色!と言ってるものの一部に汚く見えるなあって思ってるものがある。
それってのは個人差であり、矯正するしないって話じゃない。

ここで「あー○○さんにはこう見えるんだなあ」と思うのならいいんだけど、「○○さん原作色と違う!」と責め立て、さらに言えば「原作読んでないのに同人やってる!175だ!」とかっていう批判につながると嫌なんだよなあと。というか、過去の色塗り違いフルボッコの中にこういう例もあったんじゃないかなあ。
特に、印刷関係とかデザイナーとかそう言う業種に付いていると、自分の目は絶対に正しい!と思うんじゃなかろうか。というか、今そう言う事案に遭遇してる。そう言う人達ほど、自分の目とセンスってのは疑わない。

個人的には、誰かを叩く材料にしなきゃ、別に疑う必要はないんですよ。
ただ、そう言う「間違い」を見つけてヒャッハー!したくなったときは、まず自分の目を疑うってのも、必要なんじゃないかなあ。相手の感性と自分の感性のズレを疑うべきなんじゃないかなあ。とおもうのです。
で、「自分とズレてるだけだなあ」で終わらせることもときには重要かなあと思うのです。

感性の問題だけは、相容れることがムズカシイからねえ。

色って単純そうなんですが、ものすごく複雑なメカニズムで「色」が成立してます。
自分も色彩感覚若干ずれてる時があるのかもなあと思ったりはします。
最近、色を扱ってるところの書類を多々作成してるんですが、写真をどう見てもその色に見えないとかね。けど、依頼主にはその色に見えてる。作るほうじゃないので淡々と仕事をこなすだけなんですが。 

なんで、アレおかしいな?と思ったらまず自分を疑ってみよう。人を攻撃するのはやめようとおもうのよね。



余談:モニターと色の話についてはEIZOさんのこの記事お勧め。 まあ、EIZOのディスプレイ使っていてもキャリブレーションせずに使ってて「色が合わねえ!」とかってクレーム普通にあるんでなあ。