同人誌の価格の話。結構定期的に吹き上がってるように感じますね…。
で、男性向けな人はこういう記事を「馬鹿らしい」と一蹴して忘れ、女性向けは「こういう参考資料があるのよ!」もしくは「これはフルボッコすべき案件よ!」と同調圧力を高める目的で使うと。

めんどくさいね!

何がめんどくさいかって、「男性」「女性」とか「腐女子」「オタク」みたいな大きな区分じゃないんですよ、こういうの。特定の一部の女性がうるさいんですよ。みたいな。 で、特定の一部の女子が怖いから、大半の腐女子が従ってるみたいな構図なんですよ。
これが「同調圧力」ってやつの構図なんですよ!
みたいな。

で、ね。
これを同調圧力と断じるのは簡単なんですけど、じゃあ何故女性向けだとこういう話が起きるかって、知りたくなぁい?

 

女性向けで同調圧力が起こる話の前に。

同人誌の価格は、つくり手が好きに決めていいんですよ。
部数も含めて。
売れ残らないような部数ってどのくらい?とか手にとってもらいやすい価格っていくらかなあ?とかっていう「条件」をつければ経験則から色々あれこれいえますけど、基本的にはいくらでも構いません。それが同人誌であり、作りての意思表示です。
……個人的には、最低限全部売れても印刷費すらでない価格付けはやめとけと思うんですけど、それでもいいの!って人に止める権利はない。仕様やページ数の割にやたら高い価格つける人に対しても、その価格でも欲しいという人がいるならいいんじゃないかなあでFA。
原価を元にすると、印刷数が少ない人ほど頒布価格が高くなってしまうんだけど、個人的にはそれでいいんじゃないかな。もちろん、誰かに聞いてそれに合わせることもあり。

他人が作り手の意向を無視してとやかく言わなければ、いくらでもいいのです。 

さて本題。 
こういう価格の問題、男性向けや男女比が余り変わらないジャンルですと、よっぽどのことがない限り「高すぎるからあのサークル叩いて潰そうぜ」になりません。女性向けの場合、「大手さんの基準とあってないから、高すぎる!フルボッコして叩きださなければいけません!」になりがちです。
これはなぜか。

まず、買い手が誰か?という問題。
男性向けや男女比変わらない系ジャンルの買い手は「そのジャンルで作品を作らない」いわゆる買専と呼ばれるような人がかなりの割合を占めます。割合であり実数でないことに注意。
しかし、女性向けの場合、同じジャンルの書き手が他サークルの作品を買い合う割合のほうが多いのです。
同じジャンル内で買い合ってるわけですから、そりゃあ比較しまくりますわ。内容じゃなくて装丁や価格を。
しかも、書き手サークル持ちならば、印刷所と大雑把な部数が分かれば印刷費なんぞあっさり計算できてしまいます。
「むきー!こんなヘボい同人誌でこんなヘボい装丁なのにこんなに高いなんて!原価●●円だからXX円儲かってるに違いない!」
とまあ、めんどくさいね、マジで。

次。「儲かってはいけない」神話問題。
先に上げたときに何故儲かってるかどうかの話が出たかの理由にもなりますが。
「同人は趣味である」「何かを作って利益を得たらそれは商売である」「同人が趣味である以上利益(儲け)を出してはいけない」という三段論法が通ってるのが同人界隈なのですが。ややこしいのが「利益」のところです。
多分この辺税法を曲解した結果なんだと思ってるのですが、どうも「赤字ならば商売でないから趣味である」考えの人が一定数いるのですよ。「コミケはアマチュアイベント」という文言も「アマチュアは商売じゃないから儲けてはいけない!」というふうに曲解されてるし、同人じゃないけどNPO法人も「利益を出しちゃいけない=無償で提供・全員ボランティアで活動!」みたいに考えてる人が多いのです。
#NPO法人であっても、全部赤字決算じゃないといけないわけでなく、また何かをやるにあたって使用した人に対しては給料を払っても問題ないのです。というか、むしろお賃金は払おう。
何かを作るに当たって必要な経費分をいただくのは利益ではありません。また、経費の中には印刷費だけじゃなく、例えば作るために使用したパソコン代だのタブレット代だの電気代だのご飯代だの交通費だの色んな物が含まれます。ついでにイベント参加にあたっては搬入搬出費とスペース代、交通費もかかりますね。
さて問題です。ここまでの経費を考えて、「儲けを出しているサークルがどれだけあるか!」
……同人誌がちょっと高い価格つけていても、儲けにはならんのです。よっぽどの数を売りさばかないかぎり。

更に。「目立つやつは商売である」問題。
商売と考えると本当は目立たないの行けないのですが、同人誌は商売じゃありません!というのが曲がり通ってしまった結果。
「目立つ奴は 商売(=儲け)で同人誌を作ってる!」
という空気が未だに残っているのが女性向けジャンルというやつです。
この辺は「隠れていれば叩かれない、目立つから叩かれるのよ!」理論と一緒かもしれない。

そして最後。
「自分より強い人の意見に従っていればまちがいはない!」問題。
……強い人って誰かというと、それは「ジャンル内を取り仕切るお局様的ポジ」だったりします。こういう人たちが一言なにか言えば、皆それに従います。従わないとフルボッコされます。なぜなら、従わない人はジャンル(同人界隈)の中で問題児とみなされ、ジャンルという村の秩序を乱す悪人とされるからです。そして、村が乱されれば待っているのは江戸時代の五人組のごとく「連帯責任」である!……と思い込んでいます。自分が悪くないのになんで責任を追わないといけないのでしょうか。ならば、責任問題になる前に問題児を私刑(リンチ)して叩き出し、「私達は無関係です!」と言わないといけません。だって連帯責任の村だから!
と常日頃言ってるのがお局様ポジの人であり、実際そうやって追い出したがゆえにジャンル内は平和になった(と思い込んでいる)実績がありますゆえ、皆逆らえません。逆らったら「問題児」とみなされ、ジャンル村から追い出されるのが目に見えています。故に、従います。だってまちがいはないから!
(間違いはないってのは虚構であり、本来は間違いだらけだったりするんですが、彼女らからすれば懲罰を食らうのが間違いであり、懲罰を喰らわなければ間違いじゃないという価値観なのです)

とまあ、こんな理由により、女性向けジャンルというのは色々な掟でがんじがらめになっております。
同人誌の価格についても「ページ数と判型で価格を決める。原価が高い?みんな赤字で同人誌作ってるのよ軟弱者は帰れ!」だったりしますし、最近だいぶゆるくなりましたが「A1以上の特大ポスターは島中掲示厳禁ポスタースタンドなんか島中ピコ手が使うもんじゃない目立つは邪魔だあいつ潰せ!」だったりしました。
余談ですが、女性向けジャンルであってもジャンル(村)によって掟が変わります。あるジャンルですと「(その作品に女性が登場しているにもかかわらず)男女でのカップリングはジャンルものではないから村から出て行くべき!男女カプは男目当てなんだから男性向けに行け!」ってのがありました。あとは、新刊を交換しあわないサークルは村の掟に反するからフルボッコってのもあったなあ。更にややこしいことにこのムラ単位ってのはジャンルではなくカップリング単位のところもありまして、別のカップリングの本を作ったら(村の掟に反するから)ムラから出て行け!と言わんばかりに叩かれるってことも。 

こ・れ・が!
腐女子の怖さなんだよおおおおおおおおお!
いや、違う。女性の怖さかもしれない。いわゆるオタク界隈関係ないところでも、女性が固まってるところでこういう光景はよく見かけるんですわ。

大半の女子は、お局様が怖いから従ってるだけで、首を傾げつつも叩きに参加してるのです。ちょっとでも擁護したら自分が叩かれるのですから。誰だって自分の身は可愛いのです。そこは仕方ない。
問題なのはお局様に当たる人なんだけど、困ったことにこういう人はジャンル村から叩き出せないポジションにいたりします。大手サークルさんだったり、自称コミケスタッフだったり。
だから、面倒くさい。
サークルでスタッフでそのサークルの本を買いつつ自分も作ってて、気に食わないサークルは叩きだしても誰にも文句言えないどころか従う人が大勢いるポジション、これがお局様であり、こういう人がいる女性向けジャンルは本当に息苦しいです。
……そう言うジャンルにハマってしまったら、叩かれないようなジャンル活動をするか、叩きとかに負けず一匹狼を貫くか、すっぱり同人活動をやめてしまうか。そのくらいしかないのです。そして、だいたい叩かれないようにサークル活動をすることを強いられるのです。だって叩きのターゲットが自分に向かないかぎりは普通に同人活動できるし!


……私がしょっちゅう腐女子怖い腐女子嫌いっていってるのは、こういうところにいたからってのもあります。
腐女子ったって、全員がそうじゃないのは知ってるんですよ。元凶はお局様ポジの人であり、後の人はその人の言いなりになってるだけです。お局様が何らかの事情で消えると、今まで叩いていた人たちが突然チヤホヤしだすというのも見ております。別のお局様がやってきて、その人が気に食わないとチヤホヤしてた人が突然消えて叩きに戻ります。

叩かれた方からすると、普通に人間不信だがな。

そう言う意味でいうと、男性向けはよくも悪くも実力主義です。実力があれば売れる、実力がなければ誰も買わない。シンプルです。そして、買うためには目立つことも必要です。それで売れるということは、実力があるからです。目立つことしても売れないサークルというのは、単なる面白くない作品のサークルでしかありません。そして、そんなサークルを叩く人はいません。だって、誰も買ってないもの。誰も買わないサークルに対しては、値段がいくらであろうと関係ありません。

というわけで、女性向けから男性向けにやってきた女子がものすごく羽を伸ばせるのはこういう理由でもあります。次誰が叩かれるかわからない、好き作家でもお局様ターゲットに選ばれたら叩かないといけないなんて、普通に辛いでっせ。 

最後に。
こういう記事を書くと、フルボッコされます。
ついでにこういう閉鎖性が嫌で別ジャンルに移動したサークルもフルボッコされます。
それも、同調圧力ですわ。

「私たちだって我慢してるのよ!あんたも我慢しなさいよ!」

……我慢できないほどの仕打ちを受けながら趣味である同人活動なんか楽しめないっつーの。

「そういうことやってるあんたなんか同人界隈から追放してやるんだから!」

っていうメールとかたまに頂くんですけどね。
カミソリ入りのお手紙とかもいただくんですけどね。

……時々、「なんで我慢してまで趣味ってやるのかなあ。面白いのかなあ、誰かを叩くことが」って考えたりします。価値観が違うんだろうね、で思考停止しておりますが。
私は誰かを罵倒してやるもんじゃないと思うんだけどね、趣味って。