JASRACが絵画や漫画などの著作権管理を考えたいよ!って言い出したとニュースになりました。
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……これ、JASRACの理事長が変わりまして、その時の会見で行ったことなんですけど、この会見って7月14日の話なので、なんで1ヶ月も経って騒いでいるんだと思うんですがまあいいや。 
できるといいですよね!と言ってるだけでやると決まったわけでもなければ具体的な動きも何もないんですが実は。
とはいえ、まあJASRACさん音楽以外もやるの?大変だよ?それより音楽の方の権利者にちゃんとお金分配してくれよ話はそれからだ。

という私の思いがあります。

で、だ。

このニューズが出た途端、JASRACが同人を潰そうとしてる!二次創作全滅だ!と掻き立てる人が大勢出ておりまして、うん、なんというか、落ち着こうぜ?
根拠が大体MIDIをつぶしたこと、それによって音楽業界を衰退させた張本人だ!という話で、うん、待ってね事実をちゃんと洗おうかボーイって気分です。

MIDIの案件も当事者含め割と誤解をしたままJASRACを叩いてしまってるので、せめてそこは正しい認識を持とうぜと。じゃないと批判が勘違いじゃねえか!で終わってしまって、話を聞いてもらえないと思うのです。

 

確かにその昔、耳コピーなどで作ったMIDI音楽に対し、JASRACが警告を出したことがあります。それもまあ一斉に。んで、その警告がざっくり一斉過ぎて他人の作品のコピーではなく自作の物や著作権切れのものにまで及んでいたというのは事実です。 また、この警告をきっかけにMIDI公開サイトが一斉に閉鎖したというのも事実です。

……んだけど、JASRACの警告ってなんだったのか。

あれはそもそも
「うちが著作権管理している曲を公開してるよね?申請ないから連絡したよ。使うならお金払ってよ!払わないなら訴えるよ!」
というものでした。

同人誌二次創作でいうとアレですね。
権利者が「うちの作品使って本(グッズ)作ってるよね?連絡ないからこっちから連絡したけど、使うならお金払ってね。拒否するなら訴えるよ!」というようなものです。

そもそも、JASRACのお仕事とは、権利者の代わりに使いたい人と交渉してお金をもらい、そのお金を権利者に渡すというものです。その交渉方法が割と強引とか、お金をがっぽり取るくせにそのお金をちゃんと権利者に渡してないんじゃないか疑惑があったりと、その仕事ぶりに微妙な点がありますが。
それはそれとして。
音楽という世界において、耳コピであろうとなんだろうと勝手に使ってるものを見つけてしまったら「おいおい申請も出さず金も払わず使うのはアカンやろ」と警告を出さないといけない立ち位置なのでございます。そういう意味において、あの警告に関して出すのは、「著作権管理」という文脈では正しいお仕事なのでございます。
それに対し、「お金を払うのを辞める代わりに公開をやめます」という決断を取ったのは警告された側であり、JASRAC側からすると「バレたから逃げた」ということになります。それでよかったのかどうかは知らない。
(もう一度言うけど、この時の警告がMIDIデータを公開しているサイト全部という勢いであり、その中身がJASRAC権利管理対象外が含まれていたことは事実です。そういう意味でやり過ぎだとは思うので、JASRACが100%問題なかったとはいえないです)

なので、MIDI事件に関しては、もう少し警告出すところ一斉送信するような雑な仕事をするなってだけであり、警告を出すことそのものに関しては問題がないのです。
それが、著作権管理というお仕事なので。


あのとき当時の彼氏がMIDIデータ公開しておりまして、確か請求金額が6万円と言われ、高かったので公開停止にすることで支払いを逃れていた記憶があるのですが、その金額が妥当かどうかはよくわかりません。
(この手の著作権料は著作者のさじ加減ひとつなので、JASRACのような管理会社と権利者直接で金額が違うことはよくあります)
で、確か当時の彼氏が言ってたのよね。
「ファンが耳コピしただけのデータで勝手に金を取るJASRACは糞だ」
……著作権を勉強した今なら言うけど、残念ながらこの時の彼の発言は間違ってるのよね。というか、二次創作をファンアートとして黙認している同人誌界隈が割りとレアだと思うのよね。
著作権法においては、ファンアートにおいてもいわゆる海賊版においても、その区別はありません。ただ、著作権者が訴えないかぎりは罰則がないというだけです。つまり、著作権者が「ファンアートは黙認するけど海賊版は許さない」と決めたらファンアートである同人誌については何も言われないだけで、著作権者が「ファンアートであっても人の作品を勝手に使うやつは許さない」と言い出したら同人誌であろうと許されないだけです。この後者の理屈を持っているのがJASRACというわけであり、JASRACの考えは法律違反でもないのです。

まあ、ファンが作るものをどこまで許容するかって難しいんですけどね。悩むよりはスパンと0か1かで白黒したほうが楽なんですけどね。文化的にはともかく。

もしJASRAC(もしくはそれに類する団体)が漫画などの著作権を管理するとなると、音楽における著作権管理と同じ方法を取るでしょう。それだとものすごく手間隙かかる上に、それらの人件費の割に著作権料って取れない気がするんですが、そのへんどこまで本気かよくわかりません。
また、著作権者に本当に著作権使用料を払えば大手を振って二次創作できると考える人は一定数いるわけで、そのための団体を作るべき!という考えそのものは否定しません。
否定はしないけど、ものすごく難しいし、ものすごく手間暇かかるし、相当著作権料を取らないと仕事として成り立たないよ?と思いますが、否定はしません。

JASRACって悪の組織レベルで忌み嫌われてますけど、あそこは自ら相談に行く人に対しては非常に親身となってくれます。使う前に相談すると、いろいろなことを教えてくれます。その使い方だとこっちの申請をすればそこまで高くありませんよとかも教えてくれます。そして、申請が遅れたりお金の振込みが遅かったりしても、ちゃんと理由を説明すると待ってくれます(…すみません、1回だけやらかしたことがあります…)。
藪蛇になるんじゃね?とか思われがちなんですが、思い切って相談は大事です。少なくとも音楽に関しては。そして、ちゃんとお金を払う人に対しては、とっても優しいのがJASRACなのです。



……うん、知ってるよ。
その割に仕事が雑なのは…。
もう少し丁寧に仕事をして欲しいとは思いますよ…そこについては擁護しようがないので……。
あと、お金徴収するのはいいけどちゃんと著作者に分配してるんだよね?って疑問が解決しないので、そこだけなんとかして欲しいと思うんですけど…。

そこが改善しないかぎりは、同人誌含めたマンガや絵画の世界の著作権管理は手を出さないでほしいなあとは思いますけど……。
いきなり多数の同人作家に「お金払ってよ!」ってMailを送信する未来が見えるので…。うん。お金払うの嫌だから同人やめます!って言う人がたくさんいるでしょうし…。あと、お金を払ってよ!というMailを確実に「警告来た!訴えるって言われた!」と言い出す人が確実におりますし…。

そもそもの問題として、JASRACがやるよ!といったところで、著作権者が所属する各種団体が著作権管理を委托するかという問題があるのですが…。

まあとにかく。
あんまりおかしな理由で叩きまくってると、話を聞いてくれるところに相手にされなくなるので、なんというかまあ、落ち着いてねと思うのです。はい。 


追記:だってあのとき(MIDIの時代)は逆らったら裁判だったじゃないか!いくら違うって言っても裁判になったら本名出るしダメージでかいよ!という意見が、あの時代の当事者からあるようです。
裁判で本名とかが出ることがダメージになるかどうかはさておき、裁判になったかどうかは完全な思い込みであると考えております。
というのも、この件、刑事事件化したことが1つもないのです。
刑事事件の場合はたしかに大々的に取り上げられがちなので、もしかするとニュースに本名バーン!かもしれません。そのへんは警察さんが調べるのでね。
ところが、民事事件の場合は、原則的に訴える側が訴える相手の住所氏名を知らないと裁判起こせないのです。いくら個人情報駄々漏れの時代だったとはいえ、普通の企業が相手を調べるのにはそれなりに時間とお金がかかります。
(なので別の罪を着せて刑事事件化することで住所氏名を知るという手法が乱発し、結果ヤクザの資金源調査及び根絶を図るために同人作家を著作権違反名目で逮捕ということが度々起こったわけですが)
ifを持ちだしても仕方ありませんが、MIDIに関しては「逮捕されるかもしれない、社会的に抹殺されるかもしれない」という思い込みが、MIDIを下火にさせたという見方もできます。んでもって、それをJASRACのせいにするのはちょっと違うのよね……。
あと、個人には払えない金額をふっかけていた件もありますが、これも著作権上に個人利用と法人利用で何らかの区分があるわけではなく、また、無料で公開するというのは「奇特な人」扱いな時代でした(いや、ネット上にはいっぱいいたんですけど、みんな匿名だし世間的には知られてない人たちばかりだし、ね?)。あの当時の空気からすると「金かけて音楽作って無料配信など、裏があるに違いない(=個人の趣味なわけがない)」という認識が、一般社会には色濃く残っていた時代でございます。となると、いくら個人が趣味だって言いはっても「んなわけ無いだろ企業が支払い逃れたいがために趣味だ個人だいいはってるんだろいいから金払え正規の!」という話でもわりと仕方ないとは思ってます。個人で趣味で音楽という事実が世間に浸透するのは、非常に残念ながら「初音ミク」の登場まで待つ必要があるのです。 
今のJASRACはそういった世間のニースに合わせた対応を(不完全な点はいくつかあるものの)行ってるので、そういう意味で「今の」JASRACを当時のJASRAC対応がこうだったからといって叩くのはやっぱりアカンと思うのですわ…。