真木よう子氏がコミケに申し込みます!ってことで賛否両論上がっております。
※真木よう子氏って誰?って聞かれたので一応書いときますが、女優さんです。CMやドラマにいろいろ出てるので、顔見るとわかるかもしれない。私個人の印象では、割とフリーダムな性格の人という印象の女優さんです。
大体問題点は
  • コミケや同人誌知らんのに売名行為で参加するのか
  • ファンと触れ合いたいなら企業ブースか別の会場をとれよ
  • クラウドファンディングで集めた金で同人誌作るな自費で作れ
  • 本人と触れ合いたい目的で出資した人が本人と会えなかったらどうするんだ
  • っていうか800万も他人の金を集めて作るのは同人誌なのか
あたりでしょうか。
私自身はコミケのスタッフでも何でもないので好き勝手言えますが、まー、個人的にはあえて同人誌と呼ばず「ZINE」を作りたいなら、コミケじゃなくてもいいんじゃね?デザフェスとかコミティアとか、ZINE中心の即売会いっぱいあるよーと思うのですが。

で、ね。
基本的にクラウドファンディングで集めたお金で編集者や写真家のギャラ分まで補てんするのは、個人的になしだろ派なんですが、クラウドファンディングというか事前に作品の代金を集金して作るというのは、コミケ的にはよくわかりませんが、同人誌的にはありです。というか、先祖返りなんだよなって思っております。

というお話。



80年代以前の同人誌というのは、今でいう合同誌、アンソロジーと呼ばれるものに近いものでした。つまり、複数人が原稿を持ち寄って、集めてページ編集などをして、印刷して、寄稿者に配るというもの。
しかし、全員が原稿を書けるわけではありません。そこで、「原稿を書かない代わりに、印刷費を出すから自分の分も1冊余分に分けてくれ」という人たちが大勢いました。
初期のころはそのグループに所属してないとお金を出しても入手できませんでしたが、そのうちグループに所属していなくても、即売会などで余分に印刷してほしい人に印刷費+手間賃的な金額で配るようになりました。 

また、当時の同人系雑誌やサークルペーパーなどには「○○本を作ります。ほしい人は定額小為替XXXX円分をここに郵送してください。何月ごろ発送します」みたいな告知がありまして、その作家さんやグループ誌(合同誌)がほしい人は事前に定額小為替(郵便局に行くとお金に換えてくれる、封書で送れる証書)と自分の住所氏名を書いた宛名ラベルを入れて郵送するシステムがありました。

このへん、やってることがアナログかデジタルかの違いだけで、クラウドファンディングと大して変わらないのよね。いくら以上集まったら印刷しますってのも「何人以上申し込みがあった時点で印刷を開始します」みたいな募集方法も当時はあった(と聞いている)ので、要はクラウドファンディングで同人誌を作るのって、一種の先祖返りなんですよね。
ちなみに、「その人の分の印刷費を確保する」という名目なので、販売じゃなくて「頒布」という言葉を使っておりました。また、当時はサークルに所属することが基本的に申し込みの条件だったりしておりました。そのため、当時の同人誌というのは複数人で作るのが一般的でした。現在の「個人サークル」はそのころの名残だったりします。

というわけで、クラウドファンディングを使って同人誌を作ったり、事前に印刷費を回収して印刷すること自体は、同人誌としての定義に反することではないのです。
私が同人を始めた時にはもうそういうシステムで活動しているサークルはほとんど壊滅していた時代なので違和感があるのですが、仕組み自体は問題ないのよと。

真木ようこ氏の件で問題があるとすれば、どっちかというと「コミケのことわかってる?」ってのと、「関係者として名前が挙がってる人たち助言してあげてよコミケ詳しい人たちばかりじゃないか」と、あとは「800万円も集めたうえに、ファンとの交流をしたいというのなら、それは企業で申し込むか別の部屋を借りてファンミーティングやったほうがいいんじゃね?」ってところでしょうか。
個人的には「A5サイズ320ページって、背圧どのくらいになるんだ?搬入量どのくらいで考えてるんだ?今の時点で300人弱だけど、壁だったとしても500部も搬入できないんじゃね?」と「コミケ申し込み写真がツイートされてるけど、それ撮影日いつ?ツイート日=撮影日ならとっくに締め切り終わってるけど」あたりが気になっております。

芸能人がコミケに参加するというのは、一般人からすると健全な環境と思われる効果があり、必ずしも悪いことばかりではありません。ただ、コミケは全員参加者、誰一人として特別扱いしないのが原則なので、芸能人だからって特別対応されるわけではありません。まあ、行列がひどいので大手扱いでスタッフが列整理することが多いわけですが、基本的には自分たちでそういう要員を用意するのが大前提です。
また、コミケルールではパフォーマンスに当たる行為も禁止されております。握手会やサイン会などというのは本来禁止行為に当たります。ただ、鉄道島の三本締めのように黙認状態になっているものや、今回の叶姉妹のように完売後に名刺を渡すという目的でその時握手をするというようなことはあります。人が少なくなった14時以降などほかのサークルの頒布の邪魔にさえならなければという条件付きで握手会など見逃してもらえることはありますが、基本は禁止行為です。
しかし、ファンと交流するために本を作るという本末転倒なことを言い出してる彼女に関しては、あまりにも不安要素が大きいというのが本音です。

あまり目立たないようにこっそりお忍びで芸能人がコミケサークル参加していることもあります。島中配置の芸能人もいたりします。そういう人たちは、コミケが何たるかわかって参加しており、コミケルールをできるだけ守り(たまにオイタすることはありますが)参加しているので、とやかく言われることはありません。彼女も当選の暁にはその辺を守っていただけたらいいなあと思います。

で、話を戻したうえで、締め。

クラウドファンディングとか、事前にお金をもらって受注生産+αのような形で同人誌を作り頒布することは、問題ではありません。金額や内訳がどーよとか言われることはあるでしょうが、ある意味先祖返りなので、これを否定すると同人誌(ミニコミ誌)の歴史を否定することになってしまいます。
そのうえで、こういうやり方を自分はありかなしかを表明することは構わないと思います。他人にありなしを押し付けなければ。

金額が大きすぎるので、どんな本ができるんだろうかとは思うんですけど、正直どうやって支援者を見分けるのか、その辺気になってたりしております。あの環境で支援したかどうか見分けるのは無理だと思うので。もしかすると支援者分は郵送、余った分を手売りなのかもしれませんが、本人と直接やり取りしたい支援者とかの対応はどうするんだろうなあと考えると、クラウドファンディング事態がどうのよりも問題は当日のやり方(頒布方法)なんじゃないかなと、この件については思うのです。