村社会(むらしゃかい)の意味
1 集落に基づいて形成される地域社会。特に、有力者を中心に厳しい秩序を保ち、しきたりを守りながら、よそ者を受け入れようとしない排他的な社会をいう。しきたりに背くと村八分などの制裁がある。
2 同類が集まって序列をつくり、頂点に立つ者の指示や判断に従って行動したり、利益の分配を図ったりするような閉鎖的な組織・社会を1にたとえた語。談合組織・学界・政界・企業などに用いる。
(デジタル大辞泉より引用)

芸能人のコミケ参加に伴う炎上・批判・そして謝罪と参加辞退と1日であっという間に燃えカスになった真木よう子さんの件ですが、ここに至って「悪いのはオタクのほうだ!」「いや真木よう子の事態は当然だ!」みたいな議論というより罵倒合戦やってる人が多いのが少し頭痛い今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

オタク(とあえて書くけど)というのはある意味ムラ社会であり、故によそ者に対して排他的な行動をとるというのは、過去の歴史から迫害されてきた人たちすべての結末がムラ社会化するのであるわけで、結論として排他されたという(ように見える)結末は読めていたと思うのですよ。わかってる人たちは。



オタクがムラ社会を形成せねばならなかったのは、オタク=犯罪者と言われていた時期があり、故に隠れ里で口伝による世界の非常識にもなるルールとマナーで生きなければならなかった時期があったせいでもあります。 よく「腐女子怖い」という話題で記事にしてますが、ムラ社会的な発想は別に腐女子に限った話じゃなく、男女問わずオタク全体がそういう志向になってしまっているのですよ、気づかないうちに。特に年季の入ったオタクや中途半端に運営的なものを知ってる人を友人に持つオタクなんかは、自覚なく偏った思考になってしまってることも多いかなあと思います。
(で、それの小さいものが正義厨とか学級会とかだと思うんだけど)

ちなみに、あくまで個人の考えではありますが、この件に関して、真木よう子さんに非がないかというと、「(本人の認識はともかく)あまりに唐突な発表」「当落が出る前にコミケで会えるような発言でクラウドファンディング(会いたいからと言って投資した人は、落選したときどうするんだろう?)」「事務所を通してやってるのなら企業だし、事務所に相談もせずクラウドファンディングで作品作って自費出版するとなると事務所側で問題にならないのか?」「800万という目標金額の大きさ(商業印刷に頼むんだろうけど、同人印刷所だと桁1つくらい小さくなりそうだよね的な)」あたりでしょうか。
もう一ついうなれば、「本を作りたい、自費出版したいは別にいいけど、いきなりコミケでメディア戦略?」というのもあります。というのも、今までの芸能人は当落が出るまで申し込んだことをあまり公言しないものなのです(例外が叶姉妹だなあ)。当落が出た後に「コミケ参加します!」という芸能人の例は山ほどありますし、そもそも「え、そこのサークル芸能人だったの?!」という例もあったりします。それを、当落前に、しかも締め切りとっくに過ぎてる段階で申込書と一緒に写ってる写真をツイッターにアップされてしまうと、「売名行為だろ」と思われても仕方がない。
ようは、彼女のだめだったところは「コミケにおける告知戦略がオタクの反感を買う方法だった、ということに気づかなかった」ことだと思うのです。

……実際には黒幕がいるんでしょうし、いると仮定しないと「芸能人枠」なんて言う存在しない意味不明用語を彼女に吹き込んで、安易に参加させようとは思わないと思うんだ。

ただし。
「作るものが決まってないのに申し込むとは!」と「せめて自費でつくれ!クラウドファンディングなんかで金集めるな!」「ファンと会いたいだけなら自分でファンミをやれよ」というオタク側の反発というのは、そういう人がたくさんいる現状においては彼女だけに向けられるのはアンフェアであり、それは村社会の外の人間だとみているからという批判につながっても仕方ないと思います。

そのうえで。
本当にフォトブックを作りたくて、でも作ってくれる商業出版社がなくて、自費出版でもいいから出したいんだ!という意思が彼女にまだあるのならば、普通のオタクと同じように何度でもトライして申し込んだり、今は通販代行やDL出版もいろいろあるので、そういう形で出すのもいいんじゃないかなと思います。ついでに言うと、コミケ以外にも同人誌即売会はいっぱいあるので、コミケ以外の即売会にも足を運んでみて、雰囲気つかんでみるといいんじゃないかなと思います。コミティアとか、オールジャンル即売会とか、自分の作品を好きだ!と見に来てくれる場所はコミックマーケットだけじゃないからね。逆に、コミケじゃなきゃダメだ!となると、なぜコミケなのかの理由がほしくなってしまう。今の段階だと「コミケしかそういうイベントを知らなかった」で終わるけど、周囲の人がほかにもイベントあるよと教えてあげてほしいなあと思ったりはします。特に黒幕関係者。

……ほら、サンクリとかさ、コミ1とかさ。もしくはコミックシティとかさ。

コミケは理念としては「皆参加者」「表現の自由」を掲げてはいるけれど、実際問題それができているかというと……できてないわけです。特に表現の自由。いわゆるエロ問題なんかは刑法が絡むので仕方ない面もありますが。「皆参加者」も、どう考えても大人が大人の呼び出ししてるよね?的迷子放送が最近増えているように感じますし、徹夜組なんか参加者にカウントすらしたくない。

コミケがというわけじゃなくて、オタクが「ムラ社会」を作らざるを得なかったんだよね、ということが明確になった案件がこれじゃないのかなあと思います。
そして、知名度が上がったコミックマーケットでも、完全なオープン社会にすることはできなくて、どこかにクローズドな世界を内包している、クローズドでありたい人たちも囲い込むことで「皆参加者」のお題目を掲げられるということがはっきりしただけじゃないのかなあと思います。

正直、私は同人誌即売会というものが完全なオープンな社会にはできないと考えていて、でも完全なクローズドなムラ社会であり続けるのは嫌なので、ブログやいろいろな場所である程度の解説などを試みているわけです。私以外にも同じような考えの人はいるんじゃないかなと思うのですが、これはいいけどあれはダメっていうダブスタをどうしてもやりがちで、そういう人たちを見ていると、完全クローズドな世界に閉じ込めて表に出てこないようにしたいなあと考えたりはするのですが(ネット社会の現在では、完全なクローズドの世界を作るのも難しいです)。

コミケの理念の敗北じゃないと思うよ。
本音と建て前と現実の世界のギャップの話だと思うしね。

真木よう子さんには、本当にフォトブックを作りたいのならば、クラウドファンディングで集まったお金もあるわけですし、本を作ってほしいと思います。本当に作りたいのならば。
それとは別に、怪しげな人たちとの関係は断ち切ったうえで、本当に個人で、次々回のコミケ参加をお待ちしています。もしくは事務所を説得して企業ブース参加してみてはいかがでしょうか。
別に本じゃなくても、グッズでも作品でもいいわけですし。

で、真木よう子さんを「芸能人枠」というでたらめで焚きつけたらしき黒幕っていったい誰なんだって話でね。こいつを追い出さんとダメだろという結論になるにつけ、やっぱりオタクってどこかムラ社会でないとうまくいかないんだと思うのよね。