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https://twitter.com/takosu28/status/1129013539715158017?s=21

という話がえらいこじれてきてしまったので(こじれてる原因は視点の違いと、拙い私の日本語力にあるんですが)、ツイッターでは無理と判断してブログで。

私の結論から言うと、著作権問題より前から広まってはいたけれど、コミックマーケット当初から広まっていたわけではなく、サークル主催が増えるに従い広まっていったと考えています。

…ただ、その辺の裏付けをしてくれそうな心当たりのある方がことごとく鬼籍入りしてるので、どうやって裏付けをとったらいいのやら。



根拠というのは、初期の(特に)地方即売会において、「同人誌は販売じゃなくて趣味の人たちで配り合う頒布会だといえば、(販売禁止規約のある会場費の安い)会場も借りられる」という話が出回っていた件。
これを言い出したのが故・武田氏と言われてるんですけど、本当に最初にそれをサークル主催に言った人物が誰なのかは、今となっては確認しようがない…というか、割と似たようなこと考えてたイベンターが複数いたんじゃないかなあと思うのです。

自分たちの力でイベントやりたい!でもお金ない!(専業じゃないしね)っていうサークル・個人にとっては、魔法の言葉だと思うんです、このフレーズ。
「販売じゃない!趣味のものを欲しい人に配ってるだけ!(ワークショップ的)材料費分だけ負担してもらってるだけ!それが頒布!」
…実際、こういう形で本来販売禁止の会場をつかって即売会やって当日中止食らったとか、同人イベントお断りになったとかって話は聞いたことがあります…が、裏取りしてない。
(会場そのものがなくなってるケースもあれば、当時の主催者と連絡取りようがないってのもあります)

サークル主催が増えてくるのが80年代初頭くらいからだと思うんですが(この辺は自分より詳しい人が多いと思う)、そういう「サークル主催」たちってのはジャンルもしくは地域で大手(?)な方々であることが多く、その人たちがいうことは絶対!みたいな空気は(現在の女性向けとは比較にならんほど)強かったんじゃないかなあ。で、本来使えないはずの会場で即売会をやるための方便だった言葉が井戸端会議的に広まるのには、時間はかからなかったと思うのです、女性の口コミ能力を考えると。

そうこうしてるうちに、有害図書問題が起きて、著作権問題が起きて…という事件が起きるたびに、最初のフレーズの理由に結び付けられて行ったんじゃないかなあ……と思うのです。

「頒布」という言葉は「憲法の頒布(発布)」など、「広く配って行き渡らせる・知らしめさせること」という意味で、実は漫画系同人誌で使う意味合いとは若干違う…というかある意味真逆なのよね。
ちなみに「頒価」は「非売品を実費で(不特定多数に)分ける時の価格」であり、(有償無償問わず)特定の人に分ける場合は「配布」が正解なんだそうな。

…というのが、頒布・頒価がオタク系同人界隈で使われる直前までの意味。今でもオタク系以外では元の意味で使ってる人が多い気がするのよね…。

「頒布」という言葉は(明治時代の)刑法なんかで出てくるので、少なくとも明治時代には存在していたと思われます。「憲法の頒布(発布説もある)」を「絹布の法被」と聞き間違えたエピソードが大日本帝國憲法の時にありましたので、一般人には馴染みがない言葉だったかもしれませんが。

……となると、なんで70年代に興るパロディ同人誌の世界で使われてるのかって疑問も出るわけですが…。
こっちは、なんとなく三島由紀夫ー学生運動ラインから流れてきてるんじゃないかなと。自分たちの作品を広く知らしめる=頒布という難しめな言葉で権威づけというか「頭いい奴らの集まりだぜ!」的なアピールというか。
今でいう「横文字(英語)なビジネス用語を並べたらすごそうに見える」っていうアレの昔版。

っていうか、学生運動とコミケ・SF大会あたりの流れは専門書が出てるのでそっちに任せますが、源流としては繋がるとこがあるんですよと。ある意味インテリ的意識高めな人たちの集まりからスタートしてるので「価格とか販売とか野暮!頒価、頒布がかっこいい!」みたいな空気でこれらの言葉は使われるようになったんじゃないかなあと。

ともかく、ミニコミ誌界隈では「配布」や「販売」ではなく「頒布」という言葉を用いて特殊性を出し、その特殊性な言葉ゆえに本来の意味を歪める結果で浸透し、また一般人が知らないがゆえに利用していった結果、「販売じゃない、頒布だ」という言葉だけが一人歩きしていったんじゃないかなあ。

……とここまでざくっと書いているんですが、さっきも言った通り裏付けがない。裏付け取れそうな人間は、私が知る限りだと鬼籍入りしてるわけで、今の段階ではあくまで「仮説」でしかないのです。

…さて、問題です。
この辺の時代背景に詳しい人、口コミ以外で知ってるっていうリアルタイム組の方、どなたかおられませんでしょうか……(あかんやん)。

追記:一応この記事の内容は、所々に参考文献があるのですが、その参考文献の書名を探せる状態じゃないので…すみません。全くの当てずっぽうではないんですけど、複数の書籍発言を組み合わせた結果なので、変な組み込みしてる可能性があります(故にだれか知ってる人…!)