動画配信サービスGYAO!が2023年3月31日でサービス終了に伴い、色々なアニメや映画を無料公開しています。ありがとうGYAO!。お笑い芸人ファンとしてはもう少し長く残ってほしかったけど、いろいろと残してほしかった芸人動画をどんどんサービス終了していったあたりからなんとなく察していたよ(これについてはGYAO以前に、親会社のYahoo!JAPANが元凶な気がしてる)。

それはともかくとして。

そのアニメや映画の無料公開の範囲が大盤振る舞いすぎて、GYAO!の中の人は大丈夫なのかと思う程度にやけくそ感を感じるのは否めないのですが、それもまあいい。中の人はともかく、一般利用者側からするとただただありがたいでFAなので。

その大量な無料公開作品の中に、なぜか「日活ロマンポルノ」シリーズが含まれているのです。
日活ロマンポルノの詳細はググってほしいところですが、いうなればエッチな映画です。ちなみに質の良いピンク映画(成人向けのエロ映画)という謳い文句でありながら、特定の条件(1作品70分程度、ぼかしやモザイクは入らないようにアングルの配慮をする)さえ守れば割と自由に作っていいものだったらしく、「表現の自由とエロ」という観点から見ると割と興味深い作品群であるといえます。

さて、これなんですけど。
GYAO!で公開してるものってR15+のレギュレーションなんですよね。いわゆる15禁(15歳以上閲覧可能)。最近の同人誌のレギュレーションに慣れてしまうと「これだけエロでもR15+ でいけるんだ。成人向けなのにR18じゃないんだ!」みたいな感想がまっさきに出てしまうのは割りと仕方ないところではあると思うのです。


日活ロマンポルノって成人向け映画として封切られているはずなので、本来はR18じゃないの?と思ったのですが、調べてみたら割と興味深いことがわかりました。

日活ロマンポルノは1971年にスタートしており、その頃、ピンク映画と言われたエロ映画の一つになります。映画館で上映し、後にはアダルト映画専用の劇場(映画館)も作られました。しかし、その後アダルトビデオの登場し、また格安レンタルビデオ店が全国的かつ大量に開店すると同時に映画館への来場者数が激減し、1988年にロマンポルノ映画の制作は終了。日活は「新日本映像株式会社」という別会社に権利諸々を移管したそうです。

で、2010年に「女性も見ることができるエロス」として過去作品のリメイク作品が作られるようになるのですが、その流れでちょっと不思議なことが起きています。
2015年(平成27年)からは、他メディアでの二次利用のために、過去の作品において、映画倫理委員会の再審査依頼を開始。まず、1973年(昭和48年)の作品「恋人たちは濡れた」と「四畳半襖の裏張り」が再審査の結果、成人指定(R18+)から「R15+」に引き下げされた。
Wikipedia:日活ロマンポルノの項目より引用
え、そうなんだ。
ここで変わってるんだ。昔の基準が今の基準と異なっていることはよくあるし(ゲームでも時々ある)今の目線で見て少なくともわいせつ(刑法の方)ではないのはわかっているけど(その昔はわいせつではないかと裁判させられ勝訴している)、でもこれR15+なんだ。
セックスシーンがあってもR15なんだ……。

あ、えっと。
そもそも、セックスシーンあり=R18ではありません。このへんは小説なんかが顕著で、【青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの】とはなんぞやと言われればそれまでであります。
(【】は東京都の青少年育成条例第8条1項1号からの引用。大体の都道府県にこの一文は載っています)
けどですね。
結合シーンとか性器(いわゆるちん・まん)は確かに映像に出てません(たまにアングル的に微妙なのもあるが、広範囲にぼかしが入っているので形状はほぼわからない)。でも、おっぱいは丸出しだし、セックスシーンじゃん!めちゃめちゃ回数多いぜ!

みたいな気持ちが出るのは、正直仕方がないと思うのです。

……逆の考え方をすると。
「こういうふうに黒ベタ白抜きゼブラ短冊モザイク云々ではなく、アングルで性器を描写せず結果として修正を不要としている漫画や動画は、エロシーンであってもR15でいけるんじゃね?」
と思ってしまう私がおります。

思うけど、これはこれで難しいところ。なにせ、日活ロマンポルノは一度わいせつ物陳列罪として刑事裁判になってますし、誰が判断するのかという意味では一度逮捕される可能性は0ではないんですよね。しかもこれは映倫の自主規制であって、青少年育成条例的にはR18かそれ以外しか無い。

でーもーさーーー。
AV(アダルトビデオ)はR18なのよなーーー。AVとあんまり変わらない日活ロマンポルノもあるんだよなー(R15+版とは別にR18指定のままの作品もあるところがややこしいのですが)
というあたり、性描写とかと表現の自由とわいせつって本当に難しいなと思います。

そして、にっかつロマンポルノが50周年ってことで新作が出るっぽい。
旧作については不定期にGYAO!だけではなくアマプラ、U-NEXT、FANZA、RakutenTVなどで配信してるらしい。そういや確かにFANZAにあったな(仕事で見た記憶)。


というわけで、ちょっと前に修正の位置や範囲でごちゃごちゃあったんですけど、割りと真面目に「エロと修正とアングル」について考えてみたいところであります。


という、メモ。