奥付に関する話、特に「奥付にSNSのアドレスだけじゃだめだよ!」話は、なんか数年に1度の割合で聞く気がしております。ちょっと前はPixivIDだけはダメ!話だった記憶があるし。
で、ね。それに関連して。
(引用元が削除されたので、元ツイートを画像で貼っておきます。じゃないと話がわからないので)
奥付がなかったから頒布停止は、実は聞いたことがないっす。
まあ、奥付って「私が責任を持って書きました!なんかあったらここに連絡してください」っていう意思表示でもあるので、奥付がないというのは「この本について、作者は責任を持ちません」という意志に取られかねず、となると、即売会という場を提供する主催側からすると「……あ、こいつ、自分の本がヤバかったとしても責任取る気ねーんだな…権力的なものになんか言われたとしても「私は悪くないでーす」って言いそうだな」と取られても仕方がない、が故にこの場で売るなよな…と考える人がいてもおかしくはない。
ないけど、それでも頒布停止は聞いたことないし、実は即売会で買った同人誌に奥付連絡先どころか奥付そのものがない(サークル名もペンネームも何もない!)同人誌はいくつか持ってますし、最近も買った記憶があります。
(これは界隈都合なので理解はするんだけど、nmmnジャンルにおける「同人誌の奥付はペンネームのみで連絡先(に相当するもの)はマシュマロのみ、なのに、購入側は同人誌そのものにマジックで本名住所記載とか住所氏名誓約書用紙記入必須とかなルールなサークルの存在」は、奥付や責任問題という意味でねじれ現象起きてるよなあと思っています)
追記:コミケ含めた即売会でメアド追記修正くらったよ!という意見も見かけます。これ自体はデマとは思わないんですけど、該当スタッフ独自の暴走だと思うんだ…というのも、該当イベントの主催さんとかに聞いても「うちのイベントでこんなことやってたスタッフ誰や調べないといかん」話ばかりなのよね。ちなみに、自分もコミケ巡回スタッフ1名に理不尽な対応を要求されたことがある(本名が旧字体だが登録者カードの印鑑が新字体(どっちも併用してる)だから受付不可で頒布停止するって脅された案件)。
さて、奥付に何を書くべきかというのは印刷所とかに書かれていたりするわけですが、そもそもなぜそれが必要なのかという点を覚えてほしいところです。というのも、何を書くべきかということは、社会情勢に応じて変わりやすいところでもあるからです。
奥付というものを書く理由、それは。
【なにか】があったときに、連絡を取るため
【なにか】があったときに、作者を護るため
この2つです。
連絡を取ることと、作者を護ることは背中合わせの関係であり、連絡を取ることが作者を護ることでもあったりします。
なにか、というのは。例えば『わいせつ関連』…要は違法なものが見えてるよとか、そういう話。
だけではなくて。
例えば 『トレパク』や『デッドコピー』的な話とか、だけではなくて。
著作権とか商標権とか、そういったものに抵触するときに当たって、権利者が警告を出したいときとか。
誹謗中傷や何らかの妨害に当たるような内容が書かれていたときに、被害者が警告を出したいときとか。
……こういうのは、基本的には民事のお話です。民事案件は、いきなり警察に被害相談をしても被害届すら受け取ってくれない(まずは当事者で話し合え)話になりがちです。
内容によりけりですけど。流石に「(記名で)殺す!」みたいな内容なら、警察さんも即動きますけど。
しかし、話し合いとか警告とか注意とかって、相手の連絡先を知っていることが大前提なんですよね。民事案件って、実は加害者の個人情報は、相手(加害者側)の同意がないと基本的には提供されません。リアルならそれでいいけど、ネットだとそれで深刻な問題が多発したので「発信者情報開示請求」という制度があるわけですが、これとて安易にポンポン開示してくれるわけではありません(正当な理由がないと無理です)。
となると。権利者/被害者はどうするか。
一つは泣き寝入り、もう一つは刑事事件化です。
警告を出してごめんなさいもうしませんで終わってた案件が、刑事事件化されたらどうでしょうか。
みんなやってます!とか、印刷所が印刷してくれたからOKと思った!とか、イベント主催者がチェックしたもん!とかはすべて言い訳でしかなく、刑事裁判でそういう理由が認められるわけがありません。ついでにいうと、そういう人に印刷所は印刷サービスをしたくないし、そういう人に会場は場所を貸してくれないし、何だったらそういう人には主催者側もノーサンキューです。
という意味で、作者に連絡を取れるような環境を作っておくことは、作者を護ることにつながるわけです。
え、そんなこと、自分の同人誌で起こり得ない?エロじゃないし、二次創作でもないし?
いや、エロでも二次創作でもない同人誌で、奥付に連絡先が書いてあったからセーフだった話ってあるんですよ。(当時はなかった日本式の)『台湾の鉄道の時刻表』同人誌が権利者から警告を受けて云々って話です(「台湾時刻表顛末記~内容証明がキタ!~」って同人誌を以前公開されていたのですが、今は非公開のようで)
法律を網羅しているつもりであっても、実は落とし穴が存在していることはあります。そこをつつかれることは多々あって、(ただの厄介は無視していいけど)正式な権利者とか被害者に対応はするよ!って態度を見せる場所、それが奥付です。
さて。
その奥付、何を書くべきか。
このブログを書いている時点における一般論としては、
1)サークル名 2)作者(ペンネーム) 3)作者と連絡が取れるメールアドレス 4)印刷所名
とされています。
このうち、3のメールアドレスが、最近TwitterIDだけとか、InstagramIDだけとか、PixivIDだけとかってパターンが増えていて、それがちょっとした問題になりがちです。
まあ、わかるよ。メアド使わない人多いもんね…メールよりTwitterのDMで連絡!とか増えてるもんね…。
この奥付、好きで買ってくれる人向けにおいてはSNSのIDとかでいいんです。
ただ、被害者とか権利者というものは、必ずしもSNSをやっているとは限らない。担当者個人はやっていても、会社としては微妙だったりしますし、そもそもSNSにおける「本当にお前は権利者(社)なのか」問題は難しいところだったりします。
DMとかメッセージ機能とか、権利者になりすました人とかも多いですしね…。
(東方の権利者を名乗って絵を消せとPixivのメッセージ機能で連絡してきたなりすまし案件)
もちろん、メールアドレスも偽装できたりするので、実在証明的な話は今ひとつなのですが(これは権利者/被害者側だけでなく、作者側にも言える話ですが)、SNSとメアドの異なる点が1つありまして。
SNSはそのサービスに登録していないとメッセージを送ることができないのに対し、メアドについてはどこのプロバイダやフリーメールを使っていても相手にメッセージを送ることができるという点です。
すべてのSNSが無料で誰でも登録できるわけではありませんし、みんなが使っているわけではありませんので……。中には招待制のSNSもあったりするわけで、どうしたら良いのって話です、そういうのしかなかった場合。
(この辺は、Twitter以前のSNSがmixi(初期は招待制だった)で、mixiIDしか書かれてない奥付問題とかあったようななかったような記憶がうっすら)
ちなみに、メールアドレス以前は「住所と氏名(つまり本名)」でした。今でもふるーい同人誌や同人誌カタログには、奥付やサークルカットに住所と本名が記載されていたりするのを確認できたりします。20世紀の話です(21世紀になってそろそろ四半世紀経ちますが)。
リアル住所と氏名が書いてあるので、同人作家の家に突撃して同人誌をせびったり、押しかけアシが来たり、なんだったらストーカーがやってきたりと色々あった上に、個人情報保護の考えが広まった結果、今の同人誌に住所と氏名が記載されているケースは超レアになりました(皆無とは言わない)。
……が、最近はこの住所と氏名問題がクラフト界隈で問題になっているようです。こちらは、作品のタグや通販の差出人住所欄、果ては「特定商取引法に基づく表記」に記載の住所などを頼りに、自称ファンな方が自宅(店舗を持っていないハンクラ勢はそうなる)に突撃されて無理難題を言ったりするんですって。
話を戻して。
住所氏名のかわりがメールアドレスだったというのもあって、実は奥付に何を書くのがベストなのかというのは、結論が出ていません。ただ、メールアドレスは本人の意志とは無関係に消えたり変更したりというケースが少ないのに対し、SNSはBanとかで本人の意志に反して消えたりしがちであるというあたりで、メールアドレスがベターかな~ってところでございます。
なので、Gメールとかでいいので、Webメールを取って書いておくほうが良いと思います。
そして、普段メールなんか見ないよ!って人は、TwitterなりPixivなりのIDも併記しておくのがいい感じの落とし所かなあという気がします。
あ、あと。
メアドやSNSのIDをそのまま書くと怖いからQRコードにしてるよ!ってかた。
お願いなので、QRコードの中身(メアドやSNSID)もテキストで書いておいてください。
QRコード自体が印刷で潰れて読み取り不可とか、読み取りはできたけどこのIDは存在しませんとか、そういうのが多いです。それでは連絡先としての奥付の意味がないので。
なんでそういうルールなの?ってことを考えて創作活動したいものでございます。
無条件反射でここに書いてあったから!で鵜呑みにして学級会案件になってるの、時々見かけるのでね…お願いします。
で、ね。それに関連して。
ところで:奥付に関して「印刷所がアウトを出さねばならない」って思ってる人が一定数いるようですが…原則として同人誌印刷所は「完全原稿を印刷するだけだから安い」ので、チェック義務はなく、なので印刷所に門番機能があるって思うのは間違いですからね…。 https://t.co/n9A1krdn84
— 濱澤更紗 (@koumyonakakureg) June 6, 2023
(引用元が削除されたので、元ツイートを画像で貼っておきます。じゃないと話がわからないので)
奥付がなかったから頒布停止は、実は聞いたことがないっす。
まあ、奥付って「私が責任を持って書きました!なんかあったらここに連絡してください」っていう意思表示でもあるので、奥付がないというのは「この本について、作者は責任を持ちません」という意志に取られかねず、となると、即売会という場を提供する主催側からすると「……あ、こいつ、自分の本がヤバかったとしても責任取る気ねーんだな…権力的なものになんか言われたとしても「私は悪くないでーす」って言いそうだな」と取られても仕方がない、が故にこの場で売るなよな…と考える人がいてもおかしくはない。
ないけど、それでも頒布停止は聞いたことないし、実は即売会で買った同人誌に奥付連絡先どころか奥付そのものがない(サークル名もペンネームも何もない!)同人誌はいくつか持ってますし、最近も買った記憶があります。
(これは界隈都合なので理解はするんだけど、nmmnジャンルにおける「同人誌の奥付はペンネームのみで連絡先(に相当するもの)はマシュマロのみ、なのに、購入側は同人誌そのものにマジックで本名住所記載とか住所氏名誓約書用紙記入必須とかなルールなサークルの存在」は、奥付や責任問題という意味でねじれ現象起きてるよなあと思っています)
追記:コミケ含めた即売会でメアド追記修正くらったよ!という意見も見かけます。これ自体はデマとは思わないんですけど、該当スタッフ独自の暴走だと思うんだ…というのも、該当イベントの主催さんとかに聞いても「うちのイベントでこんなことやってたスタッフ誰や調べないといかん」話ばかりなのよね。ちなみに、自分もコミケ巡回スタッフ1名に理不尽な対応を要求されたことがある(本名が旧字体だが登録者カードの印鑑が新字体(どっちも併用してる)だから受付不可で頒布停止するって脅された案件)。
さて、奥付に何を書くべきかというのは印刷所とかに書かれていたりするわけですが、そもそもなぜそれが必要なのかという点を覚えてほしいところです。というのも、何を書くべきかということは、社会情勢に応じて変わりやすいところでもあるからです。
奥付というものを書く理由、それは。
【なにか】があったときに、連絡を取るため
【なにか】があったときに、作者を護るため
この2つです。
連絡を取ることと、作者を護ることは背中合わせの関係であり、連絡を取ることが作者を護ることでもあったりします。
なにか、というのは。例えば『わいせつ関連』…要は違法なものが見えてるよとか、そういう話。
だけではなくて。
例えば 『トレパク』や『デッドコピー』的な話とか、だけではなくて。
著作権とか商標権とか、そういったものに抵触するときに当たって、権利者が警告を出したいときとか。
誹謗中傷や何らかの妨害に当たるような内容が書かれていたときに、被害者が警告を出したいときとか。
……こういうのは、基本的には民事のお話です。民事案件は、いきなり警察に被害相談をしても被害届すら受け取ってくれない(まずは当事者で話し合え)話になりがちです。
内容によりけりですけど。流石に「(記名で)殺す!」みたいな内容なら、警察さんも即動きますけど。
しかし、話し合いとか警告とか注意とかって、相手の連絡先を知っていることが大前提なんですよね。民事案件って、実は加害者の個人情報は、相手(加害者側)の同意がないと基本的には提供されません。リアルならそれでいいけど、ネットだとそれで深刻な問題が多発したので「発信者情報開示請求」という制度があるわけですが、これとて安易にポンポン開示してくれるわけではありません(正当な理由がないと無理です)。
となると。権利者/被害者はどうするか。
一つは泣き寝入り、もう一つは刑事事件化です。
警告を出してごめんなさいもうしませんで終わってた案件が、刑事事件化されたらどうでしょうか。
みんなやってます!とか、印刷所が印刷してくれたからOKと思った!とか、イベント主催者がチェックしたもん!とかはすべて言い訳でしかなく、刑事裁判でそういう理由が認められるわけがありません。ついでにいうと、そういう人に印刷所は印刷サービスをしたくないし、そういう人に会場は場所を貸してくれないし、何だったらそういう人には主催者側もノーサンキューです。
という意味で、作者に連絡を取れるような環境を作っておくことは、作者を護ることにつながるわけです。
え、そんなこと、自分の同人誌で起こり得ない?エロじゃないし、二次創作でもないし?
いや、エロでも二次創作でもない同人誌で、奥付に連絡先が書いてあったからセーフだった話ってあるんですよ。(当時はなかった日本式の)『台湾の鉄道の時刻表』同人誌が権利者から警告を受けて云々って話です(「台湾時刻表顛末記~内容証明がキタ!~」って同人誌を以前公開されていたのですが、今は非公開のようで)
法律を網羅しているつもりであっても、実は落とし穴が存在していることはあります。そこをつつかれることは多々あって、(ただの厄介は無視していいけど)正式な権利者とか被害者に対応はするよ!って態度を見せる場所、それが奥付です。
さて。
その奥付、何を書くべきか。
このブログを書いている時点における一般論としては、
1)サークル名 2)作者(ペンネーム) 3)作者と連絡が取れるメールアドレス 4)印刷所名
とされています。
このうち、3のメールアドレスが、最近TwitterIDだけとか、InstagramIDだけとか、PixivIDだけとかってパターンが増えていて、それがちょっとした問題になりがちです。
まあ、わかるよ。メアド使わない人多いもんね…メールよりTwitterのDMで連絡!とか増えてるもんね…。
この奥付、好きで買ってくれる人向けにおいてはSNSのIDとかでいいんです。
ただ、被害者とか権利者というものは、必ずしもSNSをやっているとは限らない。担当者個人はやっていても、会社としては微妙だったりしますし、そもそもSNSにおける「本当にお前は権利者(社)なのか」問題は難しいところだったりします。
DMとかメッセージ機能とか、権利者になりすました人とかも多いですしね…。
(東方の権利者を名乗って絵を消せとPixivのメッセージ機能で連絡してきたなりすまし案件)
怪文書が届いたよ pic.twitter.com/pzpDry4LaX
— ぴあき(健全) (@NFWTKDaily) June 1, 2023
もちろん、メールアドレスも偽装できたりするので、実在証明的な話は今ひとつなのですが(これは権利者/被害者側だけでなく、作者側にも言える話ですが)、SNSとメアドの異なる点が1つありまして。
SNSはそのサービスに登録していないとメッセージを送ることができないのに対し、メアドについてはどこのプロバイダやフリーメールを使っていても相手にメッセージを送ることができるという点です。
すべてのSNSが無料で誰でも登録できるわけではありませんし、みんなが使っているわけではありませんので……。中には招待制のSNSもあったりするわけで、どうしたら良いのって話です、そういうのしかなかった場合。
(この辺は、Twitter以前のSNSがmixi(初期は招待制だった)で、mixiIDしか書かれてない奥付問題とかあったようななかったような記憶がうっすら)
ちなみに、メールアドレス以前は「住所と氏名(つまり本名)」でした。今でもふるーい同人誌や同人誌カタログには、奥付やサークルカットに住所と本名が記載されていたりするのを確認できたりします。20世紀の話です(21世紀になってそろそろ四半世紀経ちますが)。
リアル住所と氏名が書いてあるので、同人作家の家に突撃して同人誌をせびったり、押しかけアシが来たり、なんだったらストーカーがやってきたりと色々あった上に、個人情報保護の考えが広まった結果、今の同人誌に住所と氏名が記載されているケースは超レアになりました(皆無とは言わない)。
……が、最近はこの住所と氏名問題がクラフト界隈で問題になっているようです。こちらは、作品のタグや通販の差出人住所欄、果ては「特定商取引法に基づく表記」に記載の住所などを頼りに、自称ファンな方が自宅(店舗を持っていないハンクラ勢はそうなる)に突撃されて無理難題を言ったりするんですって。
話を戻して。
住所氏名のかわりがメールアドレスだったというのもあって、実は奥付に何を書くのがベストなのかというのは、結論が出ていません。ただ、メールアドレスは本人の意志とは無関係に消えたり変更したりというケースが少ないのに対し、SNSはBanとかで本人の意志に反して消えたりしがちであるというあたりで、メールアドレスがベターかな~ってところでございます。
なので、Gメールとかでいいので、Webメールを取って書いておくほうが良いと思います。
そして、普段メールなんか見ないよ!って人は、TwitterなりPixivなりのIDも併記しておくのがいい感じの落とし所かなあという気がします。
あ、あと。
メアドやSNSのIDをそのまま書くと怖いからQRコードにしてるよ!ってかた。
お願いなので、QRコードの中身(メアドやSNSID)もテキストで書いておいてください。
QRコード自体が印刷で潰れて読み取り不可とか、読み取りはできたけどこのIDは存在しませんとか、そういうのが多いです。それでは連絡先としての奥付の意味がないので。
なんでそういうルールなの?ってことを考えて創作活動したいものでございます。
無条件反射でここに書いてあったから!で鵜呑みにして学級会案件になってるの、時々見かけるのでね…お願いします。
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